みなさん、ゴールデンウィーク楽しんでいますか。
金沢駅にちょっと寄ってみたんですが、恐ろしいほどの人の多さでした。
あまり大きくない金沢にこれだけの人が来て、ちゃんと楽しんで頂けたか少々不安です。
ゴールデンウィークのイベントとして金沢ナイトミュージアムが開催されています。これは金沢の博物館や美術館を期間限定で夜まで営業するという取り組みです。
開催対象の施設は全部で12箇所あります。兼六園や21世紀美術館はもちろん、この12箇所の施設もライトアップされるんです!ゴールデンウィークの金沢はまち全体がライトアップされていてロマンチックでした。
金沢ナイトミュージアムはライトアップだけではなく、トークショーなどのイベントも開催されています。
そのうちの1つが室生犀星記念館で開催されたフランソワーズ・モレシャン氏による「犀川とセーヌ川の岸辺にて」というテーマのトークショーです。フランス人の考え方はとても興味深く、そして楽しいものでありました。今の金沢、日本に足りないものを痛感させてくれたトークショーになりました。
ライトアップされた室生犀星記念館。中庭も設けてあり綺麗に整えられている。
フランソワーズ・モレシャン氏とは
フランソワーズ・モレシャン氏はフランスで生まれ育ち、長年日本で生活されています。現在は石川県の卯辰山に居を構えて生活されています。
出典:金沢ナイトミュージアムより
フランソワーズ・モレシャン氏とは
クリスチャン・ディオール、レブロンを経て1974年にシャネル美容部長として再来日。2004年、母国フランスの最高勲章である、レジオンドヌール勲章を授与された。2009年には、国家功労勲章を授与された。wikipediaより
そして、フランソワーズ・モレシャン氏の旦那さんは映画評論家の永瀧達治
フランスと日本に精通していている方です。
今回のトークショーはフランソワーズ・モレシャン氏と旦那さんの永瀧達治を交えての夫婦円満のトークショーになりました。
トークショーの内容
トークの時間は1時間半くらいした。
トーク内容は以下のとおり。
フランスのセーヌ川についての詩の朗読と、フランスのシャンソンを聴きながらストーリを聞く
フランスの文化の内容を知ってもらうためにフランスの文学と
シャンソンの音楽に触れてもらう内容でした。
フランス人が詩をどれだけ好きか、セーヌ川がどれだけ好きかを知ることができました。フランスの詩にはほとんどセーヌ川が登場するとのこと。シャンソンについてもセーヌ川について歌っている歌が多く存在します。
フランス人とセーヌ川
フランス人はセーヌ川を愛して誇りを持っています。セーヌ川沿いにはルーブル美術館などの古くからの建物が多く存在します。セーヌ川沿いに住むためにはその街の景観を壊してはいけません。現代風のマンションなどを建てることをしてはいけないのです。仮に建てるとしても過去の建物を再現するような形で建てなければなりません。
また、フランス人は文化度の高い人が評価されます。文化度というのはフランスの歴史や詩などの文学に精通している人のことを指します。フランスの大統領はサルコジ大統領になるまではすべて文学人が大統領になっていました。それだけフランス人は文化を大切にしているのです。
フランスのセーヌ川と金沢の犀川
フランスのセーヌ川と金沢の犀川の共通点はなんでしょうか。それは、街の景観を大切にしていること。
フランソワーズ・モレシャン氏は日本の川沿いにある「遊ぶな、キケン!」のような標識についてこう語っています。こういったものは子供のときに学校や親に教わるものだ。川が増水した時は危険だなんて誰にでもわかる。わざわざ標識を掲げる必要はない。
フランソワーズ・モレシャン氏はまちづくりの意見を求めらることが多いのですが、東京都の景観について川の標識は取り外すべきだと当時の都庁さんに指摘したときに、「わかっているけど、万が一のときに責任がとれない。」と返答されたみたいです。これってまちのためというよりは、責任を取りたくないだけですよね。
金沢市は景観を守る条例を市内に5箇所設置しています。川についても景観を守るためにそのような標識を立ててはいません。フランソワーズ・モレシャン氏はそういった金沢の街並みを守ろうとする姿勢に共感して、現在は移住して住まわれています。
フランソワーズ・モレシャン氏の印象に残った言葉
フランスと日本に精通しているフランソワーズ・モレシャン氏の言葉はどれも印象的でした。
印象に残った言葉は
「金沢は東京にもアメリカにもなれない。金沢のいいところを残すべき!」
「中途半端な意見では成功しない、文化的右翼であれ!」
「文化や歴史は子供の時から教育するべき!」
これは犀川沿いに町屋が続く中で、ポツポツとマンションが建っていることについてです。個人の利益を優先するために貴重な景観が壊れていっています。それを守るために勇気を持って批判するべきとおっしゃっていました。
このような強い意見はフランス人として育ったフランソワーズ・モレシャン氏だから言えることだと感じました。やはり外から来た人にこのような意見をもらえるとスッキリします。
ぼく自身この意見に共感するし、金沢に住むものとしてまちづくりに参画する姿勢が大切だと学びました。意見を持って発言することは大切。それを学んだトークショーでした。
金沢は日本のリーディングシティであるべき!
日本の最近の保守的な考え方には息苦しさを感じます。やることなすことすべて批判から入る姿勢。今回のテーマである景観にしろ、民泊にしろ、否定するための材料を並べているだけです。
もう少し建設的な議論ができないものか。もう少し自分の意見をはっきりと持って批判していくことが大切ではないか。そのような気持ちが湧き上がってくるトークショーでした。
町屋や空き家を潰して新しくマンションを建てることは非常に容易です。でもそれは日本が今まで培ってきた文化を潰すことでもあります。短期的な利益に目を向けて本当に大切な物をなくしていく。
ぼくの考える日本の強みとは、今まであるものを残しつつ現代風にアレンジできるところだと思っています。
フランソワーズ・モレシャン氏はおっしゃいました。
「洋風のものを建てたいのであれば、本場のアメリカやヨーロッパで建てればいい。日本には日本にしか建てることができないものがある」と
隣の芝は青い。外のものを魅力的に感じてしまうのは人間の特徴だと思います。
でも、二番煎じはもうよくないですか!?どれだけ洋風の建物を真似して日本で建てたところで、本当にその土地に馴染むことはできないんですよ。そこまで憧れているならば、もう海外に行っちゃいましょうよ!
自己満足はできるかもしれませんが、その建物目当てに金沢に来てくれる県外や海外のお客さんはいません。個人主義とわがままは異なります。景観を損ねて好き勝手に建物を建てるのは単なるわがままです。そろそろ言い訳は辞めて、大人になる時期がきていると思います。
金沢だからできることは何か?日本だからできることは何か?
それを今一度、考え直すべきだと思いました。
日本について地元について、批判を恐れずにもっと議論はじめませんか。
大切なものは足元に転がっていたりすると思いますよ。
フランスのシャンソン
[Moody Penguin] ‘枯葉 Les Feuilles Mortes’ Yves Montand cover
雰囲気はこんな感じ。フランスの老若男女が愛するシャンソン。日本の演歌ももう少し愛されてもいいのかもね。
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